インターネット広告費の傾向
運用型広告が高い伸び。新たな市場開拓も
広告費全体の約15%を占めるまでになったインターネット広告費の2013年推計値は9,381億円。デバイスの多様化・進化も追い風となって前年比108.1%と好調。2012年の前年比が107.7%なので、相変わらず堅調な成長ぶりを示しています。
そのインターネット広告費の中で力強いけん引役を果たしているのが、検索連動広告に代表される運用型広告です。2013年の推計値は4,122億円。前年比121.6%という高い伸びを示しています。2012年の前年比は118.9%だったので、昨年はさらに勢いを増していることになります。
業種別では、従来からの中心業種である「金融・保険」やeコマースを活用する業種だけではなく、「自動車・関連品」「食品」「飲料・嗜好品」などにおいても、ブランディングを目的にした運用型広告の活用が拡大・浸透しつつあります。
運用型広告費が伸びている理由としては、バナーなどの枠売り広告と異なり、スポンサー企業にとって効率的・機動的な運用がしやすいという点がまずひとつ。加えて、従来マスコミ媒体には出稿できないような小規模事業者など新たなスポンサー市場を開拓している点も挙げることができます。自社のECサイトを持つ企業にとっては、売上に直結する顧客誘導効果を持つ広告として重宝されています。
運用型広告の分野では、いま注目されているDSP(自動で広告主の広告効果を最大化する支援システム)に象徴されるように次々と新たな広告手法が生まれて注目を集めていますが、一方で従来の枠売り広告分野でも、これからさらに動画などを使ったリッチ広告による市場活性化が期待されています。そのように、技術進化とあいまったサービスの浸透が、これからも出稿量の拡大基調を下支えするものと思われます。
また、今後のインターネット広告全体を俯瞰すれば、いわゆるビッグデータによって消費者の行動・心理を把握することが企業にとって大きな課題になっており、その解析データと連動する形でインターネット広告が運用されていく動きが強まっていくでしょう。デバイスが多様化する中で、大手媒体社において、デバイス横断型のキャンペーンの管理、つまり「デバイスフリー」の試みが始まっている点も注目すべき点です。 引用元:電通総研 メディアイノベーション研究部 研究主幹 北原利行による「2013 年(平成 25 年)日本の広告費」のウェブ電通報解説記事より http://dentsu-ho.com/articles/789